桐たんすに込められた想いを大切に

復元と二竿にアレンジ

 箪笥の復元とアレンジです。元は三つ重ねの大引出しが五杯、お盆が三枚の箪笥でした。この箪笥は二世代にわたり使われていて、すでに一度再生をされた箪笥でした。それ故、全体的に材が古く、華奢で、かなり慎重な作業となりました。

 上台と下台で二つ重ねにアレンジし、中台は台輪を足して小袖箪笥に独立させるという再生内容です。仕上げはトノコ仕上げで、今回はお客様の好みで少し濃い目の色に仕上げました。とても落ち着いた色に仕上がり、今後は当社おすすめカラーにしようと思いました。金具の状態は良かったので磨いて塗装して再利用しました。

 古い箪笥を洗うと、いつも感動があります。長い年月が経つとこんな風になるのかぁと、頭では分かっていても、実際に目の当たりにするととても感慨深い思いになります。材の収縮や反り、材の使い方による狂い、また、箪笥の使われ方や置かれていた環境などによる状態の良し悪しなど。様々な要素が絡み合って今に至るのですが、それらをきちんと読み取り、最善の処置をする、自分の目指すところは箪笥のお医者さんなのかもしれません。
 
 【寸法】W:940 H:1650 D:450(mm)
 【塗装】トノコ仕上げ