桐たんすに込められた想いを大切に

二つ重ね小袖箪笥を復元

 この箪笥はお客様の祖母が使われていたたんすで、幼少の頃から見て触れて親しんでいた箪笥だそうです。なので再生前には小さい頃に貼ったシールなどがありました。お客様はこのタンスに思い入れがあり日常使いされていました。今回祖母の思い出の品であり、自らの想いもあり再生したいということでした。

 60年近く使われたわりには状態は良く、割れがありますが虫食いはなく、材料は薄いが再生には十分耐えうるものでした。

 再生後の箪笥はご覧になったお客様は、その変貌ぶりに大変驚かれ感動されていました。こちらとしても大変嬉しく思いました。見た目は新品のようになりましたが、引き戸を開けると昔からの匂いはそのままで想いが蘇ったようで安心されていました。また長く愛用されていて次の代まで想いをつないでいって欲しいと思いました。”箪笥の想いを伝える”酒井指物の理念であり、想いが形になった今回の再生は私にしても大変有意義な仕事となりました。本当にありがとうございました。
 
【寸法】W:1100 H:940 D:420(mm)
【塗装】トノコ仕上げ