桐たんすに込められた想いを大切に

お茶道具入れに改造

 和室に置くお茶道具入れを桐箪笥から改造しました。

 お客様は前項目の民芸箪笥ローボードと同じ方です。
 金具を外していると、小引き出しの側板に作られた年号が書いてありました。「文久二年〜」調べてみたら1862年で156年前の箪笥でした。酒井指物史上最古の箪笥との出会いです。今2018年はNHKの大河ドラマで西郷どんが放映されていて毎週欠かさず見ておりますが、ちょうどこの箪笥と出会った直後に、文久二年に寺田屋騒動があったとか、生麦事件があったなどと言っていたのを見て鳥肌が立ちました。様々な時代を経験し越えてきた箪笥に手を加えることに一瞬躊躇したものの、長いこと眠っていたものを生き返らせる意味での再生を施せることにも感慨深いものを感じました。

 やはり、箪笥は日用品であるべきで、単なるインテリアではなく、使ってあげて初めて生きる家具であると箪笥屋は思っています。貴重な経験をありがとうございました。
 
【寸法】 W:860 H:290 D:400(mm)
【塗装】オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ