桐たんすに込められた想いを大切に

ブックシェルフに改造

 三つ重ねの三方桐から三種類の家具に生まれ変わりました。

 元の箪笥はお客様のご実家に置かれたままのお祖母様の嫁入り道具でした。幼い頃からその箪笥と触れ合ってきたので思い入れがあったそうです。
 今回その箪笥を上台は小箱にして弟に、中台はブックシェルフにしてご自身で、下台は塗装だけ変更して面影としてご実家に残すという、形見分けという再生になりました。

 上台は三ツ割の引出しを生かして縦に三段の小箱にしました。驚いたのはこの三つの引出しの間口の寸法誤差が0.5ミリ以下だったことです。先人の技術の高さを感じました。お陰様で縦に改造してもほぼ隙間なく綺麗に納まりました。

 中台は奥行きを詰め、上2段分を本棚にし最下段を三ツ割に改造しました。この束(つか:縦の材)を立てる作業が非常に苦戦しました。経年とともにあっちこっち歪みが出ているところに新たな材を差し込まなければならないので、寸法出しやカネ出しに苦労しました。

 完成品を見て、ご両親共々こんなに変わるもんなのかと驚いていただけました。いつも再生は苦労が多いですが勉強になります。ありがとうございました。
 
【寸法】小箱 W:305 H:520 D:410
    ブックシェルフ W:890 H:580 D:250
    箪笥 W:890 H:560 D:410(mm)
【塗装】オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ