桐たんすに込められた想いを大切に

リビングボードと厨子

 間口が4尺以上ある熊本の箪笥を再生しました。

 お客様のご実家は熊本にあり、この度解体することになったのですが、亡きお祖母様の嫁入り道具であり、想い入れのある箪笥だけは再生して手元に残したいというご依頼をいただきました。
 再生内容は、引き戸のものは観音開きに変えて四つ足をつけてリビングボードに、開きのものは材料取りで厨子を作製するというものです。

 この箪笥はおおよそ90年前のもので、それゆえ様々な箇所が歪んでいました。腐れはなかったのですが、少々の虫食いと飼っていた猫による引っかき傷が多数ありました。

 引き戸を開き戸に変更する作業はその狂いを修正するのに苦戦を強いられました。そのまま狂いを取ってしまったら表面の柾材がなくなり芯材が出てしまうし厚さも薄くなる。そこで新たに額縁をくっつけてそれを削って狂いを修正しました。

 厨子の扉の内側には猫の引っかき傷をあえて残して制作しました。飼っていたペットの想い出もあるのではないでしょうか。

 無事に納まり、お客様も満足されていたようで良かったです。ありがとうございました。
 
【寸法】 リビングボード W:1273 H:800 D:420
    厨子 W:252 H:476 D:162(mm)
【塗装】オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ