桐たんすに込められた想いを大切に

二つ重ねにアレンジ

 このタンスはお父様から譲り受けたもので思い出もあり、しっかりしたものなので再生して自分の側において使いたいというご依頼でした。

 全体的にトノコは酸化して黒ずんでいますが、キズや割れが少なく非常に良い状態でした。前面には猫がおしっこをかけたというシミがありますが、このくらいは洗って削れば簡単に綺麗になります。また金具も綺麗だったので再利用することになりました。

 問題はこの3つ重ねから、下2段を2つ重ねにアレンジすることでした。このタンスのデザインは”ローズ巻き”といって本体前面角部にローズウッドがぐるっと一周巻かれて装飾されているのです。

 まず中台の重ねを天板となるように普通に巻き直した後、上台のローズを中台へ移植します。塗装をするともう繋ぎ目はわかりません。今回も初めての再生でしたがうまく収まったと思います。

 お客様も大変驚いて下さり嬉しい限りでした。ありがとうございました。桐たんすの再生は毎回勉強になります。
 
【寸法】W:1760 → 1300 H:1060 D:450(mm)
【塗装】トノコ仕上げ