桐たんすに込められた想いを大切に

裁ち板の再生デスク

 今回は裁ち板の再生です。裁ち板とは和裁で使われる作業台で、着物の反物を裁断したり縫い合わせたりする際に使われます。ですので6尺(1820mm※厳密には和裁では鯨尺なので異なる)以上も幅がある長い板になります。

 お客様のお母様から使われていた年代物の裁ち板で、無垢の一枚板でした。
 使われなくなってお荷物になっていたのですが、弊社を知り机に再生できないかとご依頼を受けました。
 表面には無数の針が刺さった跡やヘラで擦った筋跡などがありましたが、全くの綺麗に削り上げて再生するのではなく、思い出としてこの傷も残しつつ再生してほしいと言うことでした。

 ひと削りすると栃の木ではないかと思われる独特の縮み杢が見えてきました。これは美しい仕上がりになると心が躍りました。この天板に合わせて足を作るのですが、足も同じ栃を用いて作りました。

 オイルを塗ると天板も足も縮み杢のキラキラで、予想通り美しい仕上がりになりました。天板の裁ち傷も味があって非常に赴きがあります。

 机ということで、埋め込み式のコンセントも付けました。
 眠っていた裁ち板が机として新たな役目を与えられ、また家族に寄り添えることは、裁ち板としても生き返ったのではないかと思います。
 
【寸法】 W:1680 H:558 D:420(mm)
【塗装】オイルワックス仕上げ