桐たんすに込められた想いを大切に

特注総桐小袖箪笥2ノ2ノ2ノ3の作製

 特注で総桐小袖箪笥を製作しました。

 タイトルにある2ノ2ノ2ノ3は桐たんすの仕様を表す数字で、引出しの数を表します。下から順に、大引出しが2杯、その上が2つ割り(一列に2つ引出しがある状態)で、その上がまた2つ割り、その上が3つ割り(一列に3等分の小引き出しがある状態)となってその数字を順に拾って2ノ2ノ2ノ3となります。
 よくあるのが5ノ3とか3ノ3などで、伝統的な形には“2”が入っている事は珍しいです。今回のような引き手も金具ではなく、彫り込み引き手で見た目も洋風というか、洋服などを入れる普段使い用なので使い勝手を重視した“2”が入ってきたと思われます。
 大引出し“1”は伝統的には、着物は主に二つ折りでしまっておくことが多いので幅の広い引出しである必要がありました。洋服を入れるようになると、大容量なだけにたくさん入れると重くなってしまいます。なので着る頻度が少ないものや、季節外のものをしまっておくには最適です。位置も引出しにくい下の方。
 中引出し“2”は細かく分類ができる上に出し入れしやすいのでシーズンの普段よく着るものを収納するのに最適です。
 小引き出し“3”はより小物の衣類やアクセサリー類などのいわゆる小物を収納するのに最適です。

 このように生活環境や習慣の変化で家具の形も変わってきました。桐箪笥の持つ機能性はそのままに、現代に則した形にすることが今後の桐たんす文化に必要なことだと思い知らされた特注のご依頼でした。改めて考えるきっかけをありがとうございました。

【寸法】
H:900 W:1050 D:470(mm)
【塗装】
オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ