桐たんすに込められた想いを大切に

総桐三つ重ねの塗装アレンジ

 総桐の三つ重ねを塗装のみ変更しました。

 元の箪笥は亡くなられたお客様のお母様の嫁入り道具でした。形見として引き継ぎたいということで再生のご依頼をお受けしました。

 一度、およそ25年前に自宅改築の際に箪笥も一緒に修理したそうです。当時の再生の腕前はさておき25年ほどでは大きなキズや割れがなく状態は良かったです。ただ、たった25年にしては塗装の剥げがひどくおそらく水拭きをされてしまったのだろうと思われます。

 前回の再生は伝統的なトノコ塗装がされていました。トノコ塗装は木地ムラを隠し、呼吸を妨げない桐たんす特有の塗装法ですが、水に非常に弱くちょっとでも水に触れればシミができてしまいます。ましてや水拭きなどするとあっという間にトノコが拭き取れてしまいます。また、木目を引き立たせるために混ぜられているヤシャという木の実の煮汁が経年と共に酸化が進んで黒ずんできます。結果、古びた汚い印象になってしまいます。

 お客様はそれを理解していて、洋室に置くこともあり、今回トノコは使わず、オイルステイン着色オイルワックス仕上げをお選びいただきました。実際に収めてみると、お部屋の色調と合っていて使いやすくなったと喜んでいただけました。
 
【寸法】 W:930 H:1650 D:420(mm)
【塗装】オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ