三つ重ねの総桐箪笥から北欧ビンテージ調のリビングボードとカップボードに再生されました。
元の箪笥はお客様ご自身の嫁入り道具でした。子供たちの巣立ちから十数年、ご両親を亡くし、続くように30年以上連れ添ったご主人を無くし、しばらく心にぽっかりと穴が開いたような日々でしたが、ご子息の結婚を機にご実家を手放し、ご子息のいる仙台に移住することを決断いたしました。
その際には大切なご両親・ご主人との思い出が詰まった嫁入り道具も持っていきたいところでしたが用途もスペースもない。そんな時、北欧雑貨や家具が大好きなお客様は当社の桐箪笥を北欧ビンテージ調チェストにアレンジした事例を見つけ、ご依頼を頂きました。
お盆のある中台はカップボードにアレンジし、下台と上台を横に接合してリビングボードとしました。
既存の北欧家具と合うように高さなどを調整し、近い色味で塗装し仕上げました。
ご両親・ご主人の遺影の隣に再生された嫁入り道具が並び、それらを前にしたお客様の安心したような嬉しそうな表情が印象的でした。
私は単純に桐箪笥を修理し、再生しただけですが、お客様にとっては想い出を磨き、整えた作業だったのだと思います。そんな機微に触れられていると思うと身が引き締まる思いです。
これからも酒井指物はそんな想いにこたえられるようより一層技術を磨き、日々鍛錬していきたいと思います。素敵な機微をありがとうございました。
【寸法】
リビングボード W:1435 H:850 D:450
カップボード W:1060 H:800 D:450
【塗装】
オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ