総桐の民芸箪笥と総桐小袖箪笥の復元です。
どちらもお客様のお母様の嫁入り道具で、およそ80年前に作られたものだそうです。
状態は虫食いだらけ。本体だけにとどまらず、引き出しの内側までも無数に食われていました。また、材料の少ない時代だったのか、使われている材が薄くかろうじて形を保っているような状態でした。
おそらく、他の箪笥屋なら状態が悪すぎて修理を引き受けないのではないかというような感じでしたが、お客様にとっては思い入れのある品物であるし、民芸箪笥は珍しく横幅が普通よりも広く、付いている金具は立派なもので、再生すれば見違えるように綺麗になると確信したので少々手間はかかるがお受けすることにしました。
虫食い部分を取り除き、新材で埋め木をし、仕込み直します。もちろん鉄釘は使いません。こうすることでまた何十年と使うことができるし、再び何十年後の再生も可能になります。箪笥の再生は今一瞬綺麗に修理すればいいのではなく、その後また長く使えて修理に耐えれれて、また次世代に引き継がれるようにしなければ本質ではありません。そこら辺を特に気をつけて日々再生をしております。
お客様もこんなに綺麗になるのかと驚かれていました。ありがたい反応です。次世代まで大事に使って引き継いでいただけるそうです。ありがとうございました。
【寸法】民芸箪笥 W:1140 H:1060 D:420(mm)
小袖箪笥 W:940 H:1145→630 D:420(mm)
【塗装】オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ