桐たんすに込められた想いを大切に

洋服箪笥の改造

 この箪笥はお客様の嫁入り道具でした。製作されたのは、およそ30年前でまだまだ真新しさを感じるものでした。

 お客様は神奈川に居住されていますが、箪笥は柏崎のご実家にありました。他にも嫁入り箪笥がたくさんあるのですが、神奈川のマンションにはスペースの都合で全て持っていくことはできませんでした。今回当社を知り、中でも再生可能で思い入れのある1竿を改造してマンションにも置けるように再生して欲しいというご依頼でした。

 もとは洋服箪笥で下に引出しが2杯、大きい扉で中にハンガーポールがあったり、小物入れの小箱三段がついているものでした。これを上台だけを生かし、奥行きを10cm詰め、扉を4枚に分割、小箱を取って別で使えるようにする、内側にお盆を1杯製作という再生内容です。

 お盆は不必要になった引出しの材を生かして新たに製作しました。扉の4分割にはかなり苦戦しましたが、なんとか形になりました。意匠もマンションに合うように洋風に変えました。別にした小箱には以前扉の前飾りだった金具を移植しました。

 今回の再生はもとの箪笥の材を生かした改造だったので、本当に生まれ変わったという印象でした。お客様にも大変喜んで頂き、特に小箱の前飾り、移植には驚き、喜んでいただけました。今回も新たな挑みだらけの再生となり、勉強になることばかりでした。ありがとうございました。
 
 
【寸法】
W:1060 H:1730 → 1370 D:600 → 500(mm)
【塗装】
本体:トノコ仕上げ
召し合わせ:オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ