桐たんすに込められた想いを大切に

再生で形見分け

 お客様は姉妹のお二人でした。もとの桐たんすはお母様の嫁入り道具で、この一竿をご姉妹で形見分けとしてなんとか生かせないか、というご依頼でした。

 弊社との出会いは、古金具再生のワークショップでのことでした。その会場には弊社の紹介も兼ねて再生されたチェストやベンチ、パネルで過去の再生事例等を展示していました。ワークショップに来られたご姉妹でしたが、弊社が桐たんすの再生が本業と知るとお二人で顔を見合わせたそうです。
 ちょうどお母様の桐たんすの活かし方を悩んでおられたところだったそうです。アレンジや改造を得意とする弊社ですので、その場でご相談をお聞きし、再生が始まりました。

 再生内容は、下台は復元、上台は書類入れのチェストに改造という内容です。状態は非常に良く、40年ほど前に作られた、比較的最近の造りのたんすで、材も厚くしっかりしているのでどんなものにでも再生可能でした。

 上台は着物のお盆が7杯ある仕様でしたが、A4の書類が入るトレーに改造し、さらに倍の14杯になるようにお盆の受け桟の加工もしました。そのトレーに合わせて本体間口も詰め、タワー型に。扉は取り外し、トレーにひとつずつつまみをつけました。余った材料で四つ足を作って、トレーを少しでも高い位置で使えるようにご提案しました。

 この他に、余った材料で初めてのご提案をしました。扉についていた大きな前飾りという金具はそのたんすの顔で、最も残したい部分です。が、今回の再生では生かされなかったので、なにか出来ないかなと考えました。

 形見分けなので、対のもので、金具を半々にあしらって、二つ並べると元の形が蘇るという小箱を作りました。それぞれ離れて家庭のあるご姉妹ですが、お母様の思い出とご姉妹の絆という意味を込めて、サプライズでご提案させていただきました。
 今回も素敵な機微をいただけて幸せな再生となりました。ありがとうございました。
 
【寸法】 before W:1060 H:1750 D:450(mm)
    after   W:1060 H:635 D:450(下台)
        W:380 H:1230 D:450(上台)
        W:150 H:143 D:150(小箱)
【塗装】上台・小箱:オイルワックス仕上げ
    下台:トノコ仕上げ