桐たんすに込められた想いを大切に

ちゃぶ台と小箱

 桐箪笥からちゃぶ台と小箱を制作しました。

 この箪笥はお客様の亡きお母様の嫁入り道具としてご実家にありました。遺品整理をする中でこの箪笥は幼少時代から親しんできた想い出のあるものでした。今回当社の再生を知り、ご兄弟で形見分けという形で何かしらの形にして手元におきたいというご依頼でした。

 一つは扉を生かしてちゃぶ台の天板を作りました。折りたたみ式の脚は新たにカエデの新材で作りました。面影が残るように着色はせず、オイルフィニッシュのみで仕上げました。時を経た桐の趣が伺えます。

 もう一つは本体から状態の良い桐の部分だけを取り出して小箱を作りました。こちらはインテリアに合わせて濃い茶系で仕上げました。もちろん桐箪笥と同じように一つ引き出しを閉めると他がとび出る気密性をもっています。使うたびに元の箪笥のことを想い起こすでしょう。

 今回は非常にコンパクトな再生となりましたが、先代を想い偲ぶ気持ちは変わらず、形見としていつも身近に感じられるものに生まれ変わったということは普遍です。想いを繋げる一助を担えたことにいつもながら感謝しております。ありがとうございました。
 
【寸法】 ちゃぶ台 直径:580 H:210
    小箱 W:360 H:240 D:250(mm)
【塗装】ちゃぶ台:オイルワックス仕上げ
    小箱:オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ