桐たんすに込められた想いを大切に

北欧テイスト4種

 婚礼セットの二竿から北欧テイストの4種の家具に再生されました。

 元の箪笥はお客様の叔母様の嫁入り道具で、おおよそ50年ほど前に作られたものだそうです。叔母様の他界後、形見として再生して側に置きたいというご依頼をいただきました。

 箪笥の状態は極めて良く、目立った傷や狂いなどはほとんどありませんでした。しかし、時代仕上げと言われる、一度バーナーで焼き、淡黄色のとの粉を塗って適度に拭いて落とすと焼かれたこげ茶色が木目に沿って浮き上がり、新品なのにあたかも経年したような仕上がりに成る塗装が施してあり、木地を出すまでに1ミリ以上削り込まなければならなかった事が非常に骨折れました。基本的に桐は鉋で厚削りをするのですが、厚くても削り屑の厚さは0.1ミリくらいなのです。

 昇箪笥は中台と下台を並べて北欧テイストチェストに。上台は向きを変えて書類棚に。引戸をくっつけて扉に。トレーは和箪笥のお盆から製作しました。

 和箪笥は上台を直置きにしてアルバム収納に。中棚の位置を変えてアルバムの重量に絶え得るように束を立て、扉を四枚に分割し、北欧テイストの取手を製作しました。下台は塗装のみ変更してクローゼットに収まります。

 完成品を目の当たりにしたお客様は大変驚かれ、気に入っていただけました。「こんなに良くなって叔母も喜んでいると思います。」と嬉しいお言葉をいただきました。死者を蘇らせる事はできませんが、箪笥の再生を通じて叔母様との想い出を蘇らせ、ずっと寄り添えるお手伝いが出来たかなと、こちらも嬉しい気持ちになりました。ありがとうございました。
 
【寸法】チェスト(1台) W:1057 H:850 D:420(mm)
    書類棚 W:385 H:1140 D:420(mm)
    アルバム棚 W:1057 H:1080 D:420(mm)
    クローゼット収納 W:1057 H:647 D:420(mm)
【塗装】オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ