桐たんすに込められた想いを大切に

洋服箪笥から額とテレビ台

 奥行きのある洋服箪笥から、額とテレビ台を作りました。

 お客様のお母様の嫁入り道具の一つで、ご実家に長く使われずに眠っていた箪笥を、新居移転に併せて再生するというご依頼です。

 上台はボリュームがあるように見えますが、洋服箪笥なので中はがらんどう。さらに材が口八(くちはち)と言って前から6、7センチだけが厚い材で、その奥は7ミリほどの薄い材で作られた箪笥なので、再生の材料として使えるのは口八の厚い部分だけになってしまいます。扉は狂い防止や軽量化から3層構造に成っていて所々中空の箇所があり、これも残念ながら材としてはほとんど使えないのです。
 それでも何かならないかということで額縁にすることになりました。中に飾るのは同じくお母様の遺品で、箪笥から出てきた反物です。絶妙に落ち着いていてポップな雰囲気の絣でした。
 仕上がった額は自分でも欲しいくらい繊細でおしゃれなものができました。今まで桐で額縁を作ることは何度かありましたが、柔い材なのでしっかり作ろうと太めの額にしてしまっていましたが、今回の額は箪笥の見付け面をそのまま前に出しているので額厚は箪笥の胴体の厚さそのものなので、2センチ弱です。この厚さでもなんとかなるんだなと、むしろ細い線が品があって良いなと思いました。

 下台は奥行きを詰め、上段を二つ割に改造し、テレビ台としました。中の小箱もそのままひと削りして塗装し直しました。四方が丸面なのでとても可愛らしい雰囲気になりました。

 どれも変わり映えに驚いていただけて満足していただけたようで安心しました。今回も勉強になりました。ありがとうございました。

【寸法】テレビ台;W:1120 H:420 D:400(㎜)
    額;W:350 H:868 D:17(㎜)
【塗装】オイルステイン着色、オイルワックス仕上げ