三つ重ねの総桐箪笥から北欧ビンテージ調のソファとテーブルに再生しました。
元の箪笥はお客様のお母様の嫁入り道具でした。お母様の他界後しばらくご実家に眠っていましたが、ご実家の整理の際に形見として再生して手元に置きたいといことでご依頼を頂きました。
ご希望はソファとテーブル。細かい部分はお任せいただいたのでここぞとばかりにやりたかったことを詰め込ませていただきました。
ソファには中台の三ツ割まわりを利用します。構造・部材はいつものソファと同じなのですが、5作目となる今回は足などは大きく面を取り、限りなく丸棒に近い形状にすることで、より北欧家具に近づけるようにしました。
ひじ掛けなど各部をなるべく丸く、やわらかい印象となるように気を配りました。そして引出しの取っ手は逆に桐箪笥の金具を再利用して、面影を残したのですが、シンプルな黒系の金具なので、うまく全体的にまとまりが出た気がします。
椅子構造が細くなったことで、箪笥部分のボリュームある箱感とのコントラストが出てより表情が締まったと思います。
テーブルには上台と下台から材料を取り作製しましたが、やはりソファ同様に桐で構造は持たせられないので、板部分を桐を用い、それを堅木の框(かまち)でくるむ構造にしています。
一番悩んだ点は桐箪笥の面影をどうテーブルに表すかです。悩んだ結果、中央に扉の前飾りを模したものを埋め込むことで落ち着きました。他には引出しにお盆を流用しています。
ソファとセットとなるように大きな面取りや曲線を意識しました。足はかなり華奢に見えますが根本でしっかり組まれているので全く揺れません。チークという堅い木を使っているせいでもあります。
今回初めて箪笥再生テーブルを作製しました。ソファ同様まだまだ改善の余地がありますが、現状の最良な形に収まったと思います。
いつも挑戦を頂けるお客様には感謝しかありません。ありがとうございました。
【寸法】
ソファ W:938(ひじ掛け含まず) H:800(座面約400) D:約600
テーブル W:1150 H:430 D:550 [mm]
【塗装】
オイルステイン着色(桐部のみ)、オイルワックス仕上げ