桐箪笥の小引き出しを再利用してポストを作製しました。
これは当工房のポストで、もともと使用していたポストがあったのですが、先日の強風で壊れてしまいました。買い換えても良かったのですが、折角なので再生品で作製しようと思い立ち、ちょうど巷で流行中で御多分に洩れず私も「鬼滅の刃」にはまっておりまして、その中に登場する『禰豆子の箱』をモチーフにしたポストを作製しようと決めました。
禰豆子の箱自体のモチーフは民芸箪笥で、隅金具や胴巻き、戸隅などの民芸金具が多くついています。この民芸金具は装飾の意味と、木地を保護する目的などがあり、禰豆子の箱のそれは過酷な使用環境に応じた、きちんと理にかなった使い方がされており、作者の知識の広さ深さが感じ取れます。それだけではなく、戸隅(とずみ ※扉の表面四隅に付けられている金具)の形が劇中キーとなるカラスの頭を模していると思われ、これはもともと民芸金具によくある形で、なんと言う型なのかは不勉強ですが、それをカラスに似るようにデフォルメして描写されています。作者の博識さとセンスの良さに感心しました。
なのでなるべく劇中の描写通りに再現したいと思い、特別に金具を作製しなければいけないのですが、好きな形に鉄板を加工するのは時間も費用もかかるので、考えた結果、紙で作れないかと思いつきました。
紙製の金具は自由に想像通りの形を作れて、エイジング塗装をすればもはや紙には見えません。見栄えだけのおもちゃであればこれで十分だなと期待通りの成果を得られました。このポストはお客さんに納めるものではないので実験にはちょうど良く、エイジング塗装の可能性も知ることもでき、カシューの耐水性の実験も兼ねて出来ました。
耐候性などは継続して観察する必要はありますが、総じて装飾目的であれば十分可能性はあると思いました。
【寸法】
W:300 H:400 D:150(mm)
【塗装】
カシュー