桐たんすに込められた想いを大切に

時代箪笥変形飾棚チェスト

幅、奥行きと大きな時代箪笥を少しコンパクトにまとめて、変形すると飾棚になる四つ脚のチェストへと改造しました。

調べると山形県の最上地方で作られた最上箪笥という形ではないかと思われます。ご友人より受け継いだ箪笥だそうですが、三味線や和楽器をしているお客様はやはり伝統文化等に造詣が深く、思い入れがあり、新居に併せて和テイストインテリアのアイコニックな存在として再生してほしいとご依頼を頂きました。
具体的なご希望内容は①奥行きを詰めてほしい。②ルンバが下を通れること。そして最重要ポイント③お雛様を飾れるスペースを設けること。

箪笥としては奥行きをなるべく狭くした方が圧迫感はなくなるのですが、飾棚としてはある程度奥行きが必要というジレンマがありましたが、これを解決したのが“展開式飾棚”です。

天板を開け、最上段の引き出しが蓋式になっていて開けると棚になります。まだ小さいご息女がおられるので誤って開けて手を挟まれて…ということが無いように手を離しても閉じないトルクヒンジという丁番を採用しました。

再生完了し、お客様のもとへお届けした後、お雛様を飾った写真を送っていただきました。写真と共にいただいたコメントをそのままご紹介しますm(_ _)m
「このお雛様は、私の母が娘が誕生した時に何軒もお店を周って贈ってくれたものです。遠方の実家で毎年飾ってくれていましたが、今年初めて家にやってきて娘と一緒に飾り付けました。箪笥とお雛様がお部屋をぐっと素敵にしてくれています。3月3日が終わっても片付ける気になれずにいます。」

涙が出そうなくらい嬉しいコメントを頂きました。箪笥が生き返り、大切なお雛様が飾られ、そこにご息女の姿がある。いろんな想いが重なっている光景がとても暖かく感じます。こちらも職人冥利に尽きます。ありがとうございました!

【寸法】
W:1167 H:860→850 D:580→440(㎜)
【塗装】
ステイン着色、オイルワックス仕上げ