総桐の絵画収納箪笥を製作しました。
お客様は趣味で絵画や版画を集めておられました。今までそれらは一つ一つ専用の紙箱に入れて押し入れに入れていました。
しかしその押し入れの湿度について長年悩まれてきました。そして絵画が増えるにつれてそれらの管理と、飾り替えるときの煩雑さに悩むようになりました。
はじめは押し入れの内部に桐板を貼ってみてはどうかとご相談を受けましたが、桐は調湿効果はあるがそれは桐箱や桐箪笥のように閉じた空間になって初めて効果が発揮されるのですと説明し、専用の収納箪笥の作製をご提案しました。
打ち合わせの中で押し入れの中に納まるので観音扉ではなく、取り外して開閉する“けんどん扉”を採用しました。サイズが大きく、経年変化による痩せによって気密性が落ちる可能性があるので、間口を二重構造とすることでカバーしました。
仕切り板についても様々なサイズの額縁に対応できるようになるべく細かく仕切り位置を変えることができるようにアクリルの受けを採用しました。約5ミリ間隔で微調整できるのでより効率よく収納できると思います。
取手はなるべくスッキリまとめたかったので細めの真鍮のハンドルと、引き出しには真鍮のアングルを取り付けました。
塗装は、桐の美しさが際立つ蜜蝋ワックス仕上げです。オイルのように濡れ色にならないので、木地の風合いを残したいときにはお勧めの塗装です。
併せて押し入れの扉を簀戸(すど)で作り直しました。押し入れ内の環境も変わるので、おそらく箪笥はカビても中身は問題ないと思います。少し時間を置いてまた状態を確認したいと思います。ひとまずお客様は安心されていたので良かったです。ありがとうございました!
【寸法】W:770 H:900 D:554 (mm)
【塗装】蜜蝋ワックス